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ナースパワー人材センターの離島応援ナース

ナースパワー人材センターのサイトを見ていたら、離島で働くナースを募集していました。
若い者がほとんどいない離島で人助けのために献身的に働くナースという出来合いのイメージを想像していたら、体験談を読んでその幻想は打ち砕かれました。
なんというか、リゾート満喫でもあるのですね。
体験者の声より。

今月に入って、2回ほどスノーケリングしました。透き通る海・・・泳ぐ魚達を見て、娘と共に感動しました。

師長も看護師も私がダイビングがしたくて来たということも理解してくれ 休日明けに出勤したら「また黒くなったね」って毎日毎日笑いながら働いてました。 しかも島の人には「島の人より黒いね」って言われアクティブに過ごすことができ 私にとってとても充実した半年でした。

毎日のように飲みにいったり、お祭りのパレードに参加してハッピを着ておどったり、マリンスポーツにトライしたりしています。

屋久島や徳之島、与論島などに行くそうです。
3〜6ヶ月の期間限定での勤務ということなので、永久にこのリゾート感がつづくわけではないですが、なんとなく「人助け」というイメージとはくいちがったので戸惑ってしまいました。
しかし、よく考えてみると、まず宣伝のページなのでいいことばかり書いてあるだろうということと、都会のナースは休みの日に、お祭りやマリンスポーツではなくて、カラオケや合コンやディズニーランドに行っているわけで、別に大差はありません。
マリンスポーツは都会の人にとってはバカンスのように見えるだけで、離島の人には日常なのですからね。

まあしかし、マリンスポーツが好きなナース、環境を変えて自分を見つめ直したいナースの方に、この離島応援ナースというのはいいのかもしれませんね。

ナースパワー人材センター 離島応援ナース

関連タグ : ナース
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ベッドでの転倒には気をつけよう

気の毒なニュースを見つけました。
ベッド手すりで首挟み死亡=入院患者、すき間6センチ−広島(時事通信) - Yahoo!ニュースという記事より。

 広島赤十字・原爆病院(広島市中区)は10日、入院患者が2月、ベッド側面に転落防止のため取り付けられた手すりのすき間に首を挟み、死亡したと発表した。すき間は幅6センチ。ベッド上で倒れ、誤ってはまったとみられ、病院は警察などに届け出た。

こういう事件は起こりやすいだろうなあと思います。
入院していたときも、やばそうな感じのに何度か出会いました。
特にこんな状態の時です。

男性は寝たきりの状態から、自力で起き上がれるまで回復していたという。

入院した初日、隣のおじいさんがベッドから起き上がり、早速転倒していました。
まだ本当に、起き上がれるようになったばかりの感じでふらふらしていたのですが、起き上がれると思うと、人は自力で行動したくなるみたいですね
同室の人がナースコールを押して、「○○さん倒れた〜」というと、ナースが恐ろしい勢いでやってきました。

ほかに、ベッドから出て、勝手に立上がってはいけないと言われてたおじいさんがいました。
でもその人も、自力でなんとか立ち上がれるだけに、勝手にベッドから下りてしまうのです。
深夜、ベッドから這い出ようとしているおじいさんを見て、こりゃ、ナースを呼んだ方がいいなと思い、でもナースコールを使うとばれるので(笑)、ナースステーションまで歩いて知らせに行ったわたし。
翌朝、そのナースは、おしぼりをサービスしてくれました(笑)

ベッド手すりで首挟み死亡=入院患者、すき間6センチ−広島
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080310-00000155-jij-soci

関連タグ : 転倒
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B級グルメ舌の末路

昔,載せていた文章を再掲しようと思います。
最近,知り合いが糖尿病で死にそうになって電話をかけてきました。
「もういつ死んでもおかしくない状態なんですよ」
そんなこと言われてもどう答えていいのかわかりませんでしたが,健康には気をつけたいという意味で,読んでいただければと思います。

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 発症したのは24歳のときだ。帰り道、尋常でない痛さを背中の一部に感じた。重く、鈍い痛み。「なんだこりゃ、尋常じゃないな」と、まだひとりごとをつぶやく余裕があった。しかし、そのアブノーマルな痛覚はまたたくまに左の背中一面に広がっていく。

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バラ色の彼方まで。

朝8時に朝食。
9時頃にベッドを整えたりゴミを回収するために
ナースが5,6人で病室を次々と
舞うように移動する様は圧巻です。
このときお気に入りのナースが混じっていたりすると
何かいいことがありそうな予感がしないでもありません。

その後,体温や血圧を測ったり
排尿排便回数を聞かれてからは静かな時間がきます。
入院中もっとも好きだった時間のひとつが
この時間でした。

病室には遅い朝日がさしこみ
さわやかな明るさに満たされます。
同じ病室の患者も各自好きなことをし
話し声も聞こえません。
ときおり天使たちの足音がやさしく耳を撫でていきます。
交換されたばかりのシーツに子供のように身をまかせると
自分が病気であることも
退院後に仕事をしなくてはならないことも
性欲がたまっていることも
この世のありとあらゆる厭なことは
わたしの頭が産み出したイリュージョンであるような気がしてきます。
一種の至福感につつまれてしまうのです。

しかしそんなのんきなことを考えていられるのも
わたしが死ぬほどの病気ではないだけ。
目の前のベッドに目を移すと
70歳くらいの肺ガンの方の姿があります。
この方は手術直前の検査で
手術をしても無意味ということが発覚し
急遽手術を中止。
抗ガン剤による治療に切りかわりました。
わたしの入院した病棟は胸部外科だったので
肺か心臓が悪い人がいましたが
その方が言うには
肺ガンで手術が成功しても余命3〜5年(ということは言外に自分の命はもっと短いということを示唆)。
「肺ガンより心臓のほうがええかもしれん。お先真っ暗ですわ」
いつもうつろな表情でテレビを見ていたのを忘れることができません。

入院をしてよくわかることのひとつは
人間はいずれ衰弱し死んでいくということ。
そしてそれまでの時間は長いようで短いということ。

わたしがナースに執着しているのもその冷酷な事実をを忘れるためなのかもしれません。


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幸せのあとを哀しみが追うの。哀しみのあとにはひとりのわたし。

手術の前日。
そのナースの下の名前を
すれちがいざまに確認しました。
入院して2日目くらいにそのナースは
わたしがパジャマを着替えたことに気づき
「あ。さっきとちがうの着てる」
という発言でわたしのささやかな変化も
見逃さない繊細なナースとして
わたしの中で位置づけられたのです。

そのナースの下の名をようやくのことで
知ったわたしは少なからぬ衝撃を受けました。
類例のない字を当てている。
名前自体はどこにでもある平凡な名前なのです。
その字を当てるのはかなり珍しい部類にはいるでしょう。
ちなみにその字自体も平凡な字ですが
そういうふうに使うことがあまりないのです。

手術の翌日。
まだICUにいたわたしの担当ナースとして
彼女はやってきました。
ICUにいるナースは雑菌遮断のため白衣の上に
エプロンのようなものをつけておりそのため
名札を見ることができません。

そこで手術後の妙なハイテンションも手伝って
「名前知ってますよ。りえこ(仮名)でしょ。
りえこの『り』は『離』ですよね」
と切り出してみたのですが
われながらキモチワルサが滲み出たように思い
「キモいですか」とキモさに拍車をかけるように聞くと
「いえいえ。名前を覚えてくれていて嬉しいです」と
ナースとして患者をいたわる気もちが溢れ出たような模範的な解答。

しかしその後なぜか「これは内緒なんですけど」と
自分のカレシの話をはじめたのは
女としての見事な防衛反応としかいいようがありません。
つまり
ナースという職業柄わたしは患者のあなたにやさしくしているのであって
女として患者のあなたに好意を示しているわけではないのよ
というメッセージがこめられているのです。

患者をいたわらなければならないが
患者に惚れられたくはないナースの
患者への距離の取り方がなんともいえず鼻白む思いでした。
鼻白むくらいでちょうどいいのかもしれませんが。

しかし「これは内緒なんですけど」とはどういう意味なのでしょう。
カレシがいることが内緒?
ナース集団の中で自分にカレシがいることを隠しているのでしょうか。
複雑怪奇なナース集団におけるポジションの取り方の難しさを垣間見たような気がしました。

関連タグ : ナース
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どうしてこんなにいじめるの。

ふくらんだ胸についている名札の写真を見る限り
いけないことを何も知らないおぼこむすめのようでした。
視線を上に向けると
そのほほ笑みには罪のない攻撃性がみえ隠れしていたのです。

胸腔ドレーンは1日に何回かチェックを受けます。
そのチェックをふたり一組でする場合
ひとりが「ウォーターシールOK」とかなんとか
そんなようなことをかならず言うのです。

「ウォーターシールってなに?」
あるとき好奇心に駆られて問いました。
「ふふふ」
とそのナースは口もとだけで笑いながら
「その疑問は墓場までもっていってもらいましょう」
ともし相手が余命はかない患者なら卒倒しそうなことばを口にしました。
わたしは食い下がってウォーターシールの正体をあばこうとしましたが
ささやかな悪を楽しんでいるような彼女の笑みが消えることはありませんでした。

それから何日かのち処置室にいるとき
そのナースは
「○○さん(僕のこと),ウォーターシールが何か知りたがってた」
と他のナースに突如話し始めたのです。
わたしは「もういい加減おしえてーやー」と迫りましたが
「ひみつひみつ」とかたくなな態度を崩そうとしません。
「ええわ。やさしそうな人に聞くから」
わたしはすねました。
「大丈夫。申し送りしとくから。○○さんにはいわんといてって」
彼女はケラケラと笑っています。

わたしは不機嫌そうな顔をして処置室を出ました。
しかし内心ではこの奇妙なやりとりを楽しんでいたのです。
彼女とわたしだけに通じる合い言葉ができたわけですからね。
それは「ウォーターシール」。

もう永遠に知らなくてもいいのです。
というか知らないほうがいいのです。
そうすればこのやりとりがずっとつづけられるわけですもの。
ネットで検索しようと思えば今すぐにでもできるでしょう。
退院後もう9ヵ月も経っています。
でもまだ検索してません。

関連タグ : 胸腔ドレーンナースウォーターシール
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彼女がくれるエキサイテーション。 〈後編〉

「もっと話していたいけど,もう行かなきゃいけないから」
入院中に聞いたもっとも恵み深きことばでした。
これを言ったのはもちろんナースですが
社交辞令か否かが気になるところです。

社交辞令ではないとの判断理由は
・このセリフを言ったのが当時28歳前後のナースであった。
・わたしがレントゲンの順番を待っている間,彼女もレントゲン撮影のために老人患者を車椅子で運んできていたのですが,このセリフはその老人患者を完全にないがしろにしてなされた二人だけの会話の最後を飾るものであった。
・さらに,数日後のわたしの退院時に彼女は「また外来で来たときにでも寄っていって」と言ってくれた。そんなことを言ってくれた優しいナースは彼女ひとりであった。
といったところでしょうか。

次の外来での診察のとき
わたしは入院していた病棟を訪れたのですが
その手にはこのナースに渡すべき
携帯の電話番号にメッセージを書き添えた紙が握りしめられていたのです。
間抜けなことに,このときそのナースは日勤ではなかったらしくいませんでした。

約1年後。
再入院してみると,なんとわたしの担当のナースはまさにこのナースではありませんか!
わたしは運命的なものを感じとらずにはいませんでした。
神様はまだわたしのことをお忘れにはならなかったのだ。
病棟の廊下で再会したときに
ふたりともよろこびの声をあげたものです。
しかも彼女は,わたしのパジャマの裾を指で握りしめながらかわいく話すのです。
こんなしぐさをされて落ちない男がいるでしょうか。
入院して本当によかった。

しかしその後,彼女は特にわたしに媚びるような態度をとることもないので
一抹の不安を感じていたのですが
退院の前日,彼女はわたしの病室にやってきました。
ついにこのときが来たのだ。
わたしはそう確信しました。

彼女はまず前座として,同じ病室の他の患者と話し込んでいました。
かなり長かったです。15分くらいは話していたはずです。
その間わたしの胸は高鳴り
1年前に渡せなかった携帯の番号を書いたメモを
手に汗をかきながら再び用意していました。

他の患者との会話もようやく終わり
次はわたしの番だなと身構えたその瞬間
彼女の足音はわたしから遠く離れていきました。
手にしていたメモはわたしの手からすり抜け
ベッドサイドをひらひらと舞い床に落ちる
なんてことはさすがになかったものの
わたしはメモをかばんにしまいこんだのです。

翌日,彼女からわたし宛のメッセージを聞いています
という新人っぽいナースが声をかけてきました。
彼女がわたしのことを忘れていなかったのでほっとしましたが
挨拶ができなくてすいませんでしたとかなんとかというメッセージには
あきれるほかなかったです。
だって,昨晩同じ病室にいた他の患者とは充分長く話していたんですもの。
その時間をちょっとでもけずってわたしに挨拶できたはずです。
ちなみに,このときは就寝前でわたしはカーテンを閉めて
他の患者から姿を隠していたので
同じ病室にいても彼女はわたしの姿が見えなかったはずです。
だから,挨拶しそびれたということも考えられますが
同じ病室にわたしがいるということを忘れているということ自体が
わたしにとっては許せない侮辱のような気がするのです。

半年後,外来で診察を受けた後
わたしは駅で夜勤明けの彼女とばったり再会しました。
実はこのときも懲りずに運命を感じてしまったのですが
このとき彼女は
・もう30歳であること。
・今朝患者に文句を言われたこと。
・椎間板ヘルニアで入院して大変だったこと。
・もうすぐ辞めるつもり。遅くとも来年の3月には辞める。
ということをわたしに話してくれました。
全部愚痴で会話に明るさがなかったです。
しかも,今夜はナースの勉強会があって
自分が発表する番だから用意をしないとと言っておきながら
「これから行くところがあるから」と
自宅のあるほうとは反対の路線に乗って去っていきました。
わたしは男の部屋に行くのだなと直感しましたが
勉強会の準備のために図書館か本屋へ行ったのかもしれません。
みなさんはどう思われますか。

わたしはこのときついに念願の
携帯の番号を書いたメモを渡すことができましたが
そのメモはどうやら本来の役目を果たすことがなかったようです。

再々入院した昨年の4月,彼女の姿はありませんでした。

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彼女がくれるエキサイテーション。 〈前編〉

ナースに対してほのかな恋心が芽生える。
入院中の男性患者にこの感情を抑え込めというのは
太陽を西から昇らせるよりも難しいことに間違いはありません。

ナースは毎日のように患者のからだを触ります。
脈をとったり血圧を測ったり。
ガーゼ交換をしたり点滴をうったり。
からだを拭いたり洗髪をしたり。
しかもその触れ方といったら
必要最小限触れるべき部分だけをさわり
力を入れすぎることもなくさりとて弱々しくもない。
その訓練された医療従事者の手つきは逆にエロティックではないのか。
特にわたしにとって官能的だったのは
脈をとるために2本の指で手首を触れられること。
その接触面の少なさが
かえってナースの指の存在を大きくしてしまう。
脈拍は上昇する。

そしてわたしは恋をする。
2001年に自然気胸を発病したとき
最初わたしは近所の病院に入院していました。
手術をするために少し遠くの病院に転院したので
2つの病院を経験しているわけです。

その最初の病院を去る前夜
わたしはあまりにも名残惜しいため
背が高くスラッとしており
さっぱりとした男っぽさが好印象のナースに
「合コンをしましょう」というメッセージと
連絡先を書いた紙を渡しました。
彼女は特にびっくりしたふうでもなく
「けっこう年いってんで,あたし」
というあけすけな言葉だけを残しました。
わたしには28,9のように見えたのですが
30を過ぎていたのかもしれません。

連絡が来るどころかひょっとすると
転院先の病院に花束をもってお見舞いに来てくれるかもしれない
などと妄想はふくらんでいたのですが
もちろん現実はそんな甘いものでなかったのはいうまでもありません。

2年後くらいに,このナースの友人という女性に
ひょんなことから出会ったのですが
当時わたしが教員をしていたということもあり
「先生が合コンの誘いをしてきた」
ということでナースステーションではかなり話題になっていたそうです。

今にしてみれば,このナース
わたしが転院するときに
「最悪やな」
と言い放ったことが愛憎半ばに思い出されます。
(憎が入っているのは連絡してこなかったからですもちろん)
これがナースの言うことでしょうか。

このナースは手術が必要なことに「最悪やな」と言ったわけですが
落ちこんでいる患者を追い込むようなこの一言はナースとしては失格でしょう。
「手術すれば絶対よくなるから」とか
「この手術はそんなにたいへんなものじゃないよ」
とかの慰めの言葉をやはりかけてほしいものです。
しかしわたしは彼女のこの男っぽいざっくばらんなところに惚れているのですから
この一言はあながち間違いではなかったことになります。
患者心というのはよくわからないものです。

さて,今日はここで筆を置き
メインの後半部分である転院先のお話は明日にまわしましょう。

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街はいつでも後ろ姿の幸せばかり。

ナースを掻き口説く老人に遭遇したことがあります。
先々月,外来で病院を訪れたときのことです。
その老人は11時からの診察にもかかわらず
暇をもてあましているため
9時から病院の待合室に登場(本人がナースに語ったところによる)。
そして幸運なことに(ナースサイドから見れば不運なことに)
入院していたとき世話になったナースを見つけたのです。
しかもそのナースは夜勤が終わり帰宅するところでした。

「今からコーヒーでも飲みに行こや。まだ診察まで時間あるんや」
と広い待合室にはたくさんの人がいるにもかかわらず大声で悪魔の誘いをかけるのです。
ナースも応戦します。
「これからね,しなきゃいけないことがあるんで。ほら,銀行に行ったりとか。銀行は昼間しか開いてないでしょう?」
コーヒーを飲んでからでも,銀行には行けると思うが,がんばれナース!
老人は次に
「携帯の番号教えてや。今度メールするわ」
ナースはここで十中八九嘘だと思いますがこう言いました。
「あたしあの,メールとかあんまり好きじゃないんで」
「ほんなら電話するわ」と老人。
「またね,病棟のほうに来てくれれば,そのときお話できますのでね」
「これからコーヒーのみに行こや」
とまた最初の誘いをくり返す老人。

老人とナースはこの会話パターンを
間に病気の話などを盛り込みながら
幾度かくり返していました。
残念ながらわたしは途中で診察室に呼ばれたために
最終的な結果は確認できませんでしたが
ナースが拒否しきったことを信じたいと思います。

しかしわたしはこの老人を見習いたい。
羞恥心と自意識をとっくにどこかに捨ててきたような老人。
おそらく死が近づくとそうなるのでしょう。
他人の冷たい視線を浴びながらも
自分の意志や欲望を実現しようとする人間に
わたしは憧れ以上のものを感じます。
たとえその意志や欲望が誤ったものであったとしても
自分の判断で行動することのほうに「良さ」が
あるように思えるので。

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ふたりだけの秘め事。溜息が出ちゃう。

入院中の数少ない楽しみのひとつに洗髪がありました。
胸腔ドレーンを体につけていたわたしは
自由に入浴することができないので
2日に1度,ナースに体拭きと洗髪をしてもらっていたのです。

体を拭いてもらうのもまんざらではありませんが
体拭きが病室で行われるのに対し
洗髪は入浴室で執り行われるため
他人に邪魔をされないふたりだけの時空間を共有できる
というひそかなうま味があります。

とはいうもののそのうま味を活かすことができるかどうかは
その人の双肩にかかっています。
コミュニケーション能力に多くの問題を抱えている(と思い込んでいる)わたしは
この千載一遇に近いチャンスを決してものにすることはありませんでした。

その証拠に洗髪時に行われた魅力的な出来事を何も思い出しません。
せいぜい結婚適齢期を過ぎかけのナースの正確な年齢を知ろうとして
「この仕事もう何年になります?」
などと意図がみえみえの質問をし
笑いながら見事に交わされてしまったことが
思い出されるだけです。
(ちなみに,その人はわたしの退院後にナースを辞め
医療器具の営業に転職したそうです)

いったいわたしは入院中に何をしていたのだろうと
愕然とするばかりです。
患者とナースの色恋沙汰は世間ではよく聞かれることですが
おそらく洗髪の機会のような好機を逃さない「生きる力」を
みなさん身につけておられるのでしょうね。
わたしの知人にも入院中に知り合ったナースを
部屋に呼んだというようなことを言っているやつがいました。

わたしは今
洗髪時の失敗を挽回するために
自分で肺に穴をあけてでも
もう一度入院したいという不謹慎な気持ちが
日に日に募りつつある
ような気がしないでもありません。

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